DESIGN NOTE / 体積で考える
同じ30坪でも、広く感じる家とそうでない家があります。この記事では、延床面積を増やさずに広さを稼ぐために私たちが使っている四つの手を、実際の施工実績の坪数と一緒にご紹介します。
広さは、面積ではなく体積で決まります

都市の狭小地では、延床面積を大きく取ることが難しい場面が少なくありません。それでも「狭い」と感じさせない住まいはつくれます。
私たちが大切にしているのは、面積ではなく体積で広さを考えるという視点です。天井の高低差、床のわずかなずれ、視線の抜け方。壁を減らし、床の高さと開口の位置で場を分けることで、数字に現れない広がりが生まれます。
広さは、床の面積ではなく視線の距離で決まります
部屋に入って広いと感じるかどうかは、そのとき目がどこまで届くかでほぼ決まります。

施工事例「クルマも暮らしも、この敷地の中に(デモ)」より
3メートル先に壁がある部屋と、8メートル先の窓まで視線が抜ける部屋では、床面積が同じでも体感はまったく違います。
天井の高さも同じです。数字の上では30センチの差でも、見上げたときの余白として確かに効きます。
ですから私たちは、間取りを「部屋をいくつ取るか」から考えません。
いちばん長く視線が抜ける方向を先に決めて、その線の上に壁を置かない。そのうえで、必要な仕切りだけを、視線を止めない高さと位置で入れていきます。
面積を増やさずに広さを稼ぐ、四つの手
いずれも特別な工法ではありません。実際の施工実績で、どの手をどう使ったかを並べます。
四つめは、縦に積むという手です。間口の狭さをそのまま引き受け、3層の縦長ファサードとして端正に整える。平面で足りないぶんを階数で確保し、外観は縦のプロポーションとしてまとめます(敷地 約16坪/延床 約28坪・通りに端正に立つ、縦の家)。
小さく建てて、広く暮らす
延床を1坪増やすには土地も費用もかかりますが、視線の抜け方と天井の高低差は、同じ面積のなかで変えられます。
ご相談のときに「何坪必要でしょうか」と聞かれることがあります。私たちがお返ししているのは、坪数の目安ではなく、どこに立ってどこを見たときに広いと感じたいですか、という問いです。
そこが決まると、必要な面積は思っていたより小さくなることがあります。

施工事例「クルマも暮らしも、この敷地の中に(デモ)」より
この記事のポイント
- 都市の狭小地では延床面積を大きく取ることが難しくても、「狭い」と感じさせない住まいはつくれます。
- 広さは床の面積ではなく、そのとき視線がどこまで届くかで決まります。いちばん長く視線が抜ける方向を先に決め、その線の上に壁を置きません。
- 面積ではなく体積で広さを考える――天井の高低差、床のわずかなずれ、視線の抜け方が数字に現れない広がりを生みます。
- 同じ延床面積でも、視線が遠くまで抜ける家と壁に遮られる家では、体感する広さがまったく異なります。
- 延床を増やすには土地も費用もかかりますが、視線の抜け方と断面のつくり方は同じ面積のなかで変えられます。







